れんこんについて

れんこんに関する知識をまとめました。

  • 「そもそもれんこんって何?」
  • 「れんこんの選び方や保存方法を知りたい」
  • 「れんこん料理を使った作ってみたい」

れんこん一筋18年の常陸國農園が、そんな疑問にお答えしていきます!

れんこんとは?

れんこんとは

「れんこん」とは、蓮(はす)の地下茎が肥大化したものです。

漢字では「蓮根」と書きますが、厳密には根ではなく地中に伸びた茎部分を「れんこん」とよんでいます。

れんこん内部の空洞は、深い地中でも空気を取り込むためのもの。
輪切りにすると複数の穴が開いていることから「先を見通せる」縁起物として、お節料理にも用いられます。

れんこんの魅力は、栄養豊富で調理方法によってさまざまな食感を楽しめること。
煮物やてんぷらなど、日本の食卓に欠かせない食材の一つです。

れんこんの歴史

歴史

れんこん(蓮)の原産地は諸説ありますが、エジプトやインド、中国説が有力です。
世界三大美女の一人「楊貴妃」が、美容のために蓮の葉を煎じて飲んでいたと伝えられています。

奈良時代には、日本でもすでに食用のれんこんが栽培されていたと考えられており、713年に編纂された「常陸国風土記(ひたちのくにふうどき)」には、次のように記されています。

神世に天より流れ来し水沼なり、生ふる所の蓮根、味いとことにして、甘美きこと、他所に絶れたり、病有る者、この蓮を食へば早く差えて験あり

れんこんには「在来種」と「中国種」の2種類があり、日本でれんこんが本格的に栽培されるようになったのは、中国種を導入した明治時代以降です。

れんこんの産地

産地

茨城県の霞ヶ浦周辺は、日本一のれんこん産地です。

2020年8月に公表された「作況調査(農林水産省)」によると、全国のれんこん出荷量は44,500t。

このうち茨城県は23,000tと全体の半数以上を占め、佐賀県(4,330t)、徳島県(4,260t)と続きます。

順位 都道府県 収穫量 出荷量
1位 茨城 26,400t 23,000t
2位 佐賀 5,800t 4,330t
3位 徳島 5,200t 4,260t
4位 愛知 3,010t 2,830t
5位 山口 2,480t 2,240t
国産のレンコン以外では、中国産のれんこんも多く出回っています。

栄養・効能

栄養素

「日本食品標準成分表2015年版(文部科学省)」によると、れんこんの栄養素は下記のとおりです。

れんこん(生) エネルギー 炭水化物 たんぱく質 脂質 ビタミンC カリウム 食物繊維(水溶性) 食物繊維(不溶性)
含有量 66kcal 15.5g 1.9g 0.1g 48㎎ 440mg 0.2g 1.8g

れんこんにとくに多く含まれている成分を、詳しく見てみましょう。

  • ビタミンC
  • カリウム
  • 食物繊維

ビタミンC

ビタミンC

れんこんには、100gあたり48mgの「ビタミンC(アスコルビン酸)」が含まれています。

一日当たりのビタミンC摂取量目安(成人の場合)は、100mg(日本人の食事摂取基準)です。

れんこん一節は約200mgなので、1/2節で一日分のビタミンCを摂取できる計算です。

ビタミンCは水に溶けやすく熱にも弱いため、調理によって失われやすい栄養素です。
しかし、れんこんに含まれているビタミンCはでんぷん質で守られているため、より効率よく摂取することができます。

ビタミンCには酸化作用もあるため、美容(老化防止)、疲労回復、免疫力向上など、さまざまな効果があります。

カリウム

カリウム

「カリウム」はミネラルの一種です。
ナトリウムと相互作用しながら体内の水分量を調節する働きがあるため、高血圧の予防に効果があります。

れんこんには、100gあたり440mgのカリウムが含まれています。

一日当たりのカリウム摂取量目安は、成人男性で2,500mg、成人女性で2,000mg(日本人の食事摂取基準)です。

食物繊維

食物繊維

れんこんには、豊富な食物繊維が含まれています。

食物繊維には腸の蠕動(ぜんどう)運動を活性化する作用があります。
また、腸内に住む善玉菌のエサになるため、腸内環境を整える効果もあります。

一日当たりの食物繊維摂取量目安は、成人男性で21g、成人女性で18gです。
食物繊維には「水溶性」と「不溶性」の2種類があり、れんこんは、便通をよくする効果が高い「不溶性食物繊維」が多く含まれています。

その他の成分

タンニン

れんこんには、「タンニン」「ムチン」といった成分も、豊富に含まれています。

タンニンはポリフェノールの一種で、ビタミンCと同様に抗酸化作用があります。
活性酸素によるダメージを防ぐことで、動脈硬化や生活習慣病を予防する効果があります。

ムチンは、糖とタンパク質が結合した粘り気のある物質です。
目や鼻、口、胃腸などの粘膜を保護する働きがあるため、風邪やインフルエンザ、花粉症の予防に効果があります。

正しい選び方・保存方法

おいしいれんこんの見分け方や、鮮度を保つ秘訣を解説していきます。

選び方

れんこんは、ほぼ一年中食べることができますが、9月ごろから収穫が始まり、12月ごろに最盛期を迎えます。

秋口に収穫されるれんこんは、やわらかくあっさりしていて、冬になると粘り気が出て甘味が強くなる傾向にあります。

おいしいれんこんを選ぶために注目したいポイントは次の3つです。

  • 形・重さ
  • つや
  • 色味

形・重さ

ふっくらとして厚みがあるれんこん(太いもの)がいいでしょう。
持ったときにずっしりと重みを感じるものは、水分を多く含んでいて新鮮な証拠です。

つや

表面につやがあり、きれいなれんこんを選びましょう。
収穫から時間がたつほど水分が失われるため、表面につやがなくなり茶色く変色していきます。

ただし、れんこん表面にある赤褐色の斑点は「赤シブ」といって、鉄分を豊富に含んでいる証拠。
品質的にはまったく問題ありません。

不自然に白いれんこんは、塩素で漂白されている可能性があるので注意が必要です。

色味

すでに切ってあるれんこんを購入する場合は、切り口や穴の中が変色しているものは避けましょう。

保存方法

保存方法

 

れんこんを新鮮に保つ秘訣を、保存方法ごとに紹介します。

常温保存する場合

カットされていないれんこんは、常温保存も可能です。

水中で育つれんこんは乾燥が大敵。

湿らせたキッチンペーパー(または新聞紙)でれんこんを包み、ポリ袋に入れて、冷暗所で保管しましょう。
おいしく召し上がれる保存期間の目安は3日ほど。
(泥がついている場合は、洗わないほうが痛みづらいです。)

暑い時期はれんこんが傷みやすいので、後述する冷蔵・冷凍保存がおすすめです。

冷蔵保存する場合

れんこんを丸ごと冷蔵保存する場合は、常温で保存する場合と同じです。

湿らせたキッチンペーパー(または新聞紙)でれんこんを包み、ポリ袋に入れて保管しましょう。
保存期間の目安は、1週間ほどです。

カットされたれんこんを、冷蔵庫で保存する方法は2つあります。

  • ラップで包む
  • 水に浸す

ラップで包む場合は、変色を防ぐためにしっかり密封することを心がけましょう。

水に浸す場合は、タッパー等の保存容器にれんこんを入れて、全体が浸かる程度に水を入れます。
水は2日に一回ペースで換えるといいでしょう。

保存期間の目安は、ラップで包む場合で3日、水に浸す場合で1週間ほど。
水に浸すと、日持ちしやすく変色を防げるメリットがある一方、水溶性の栄養素が失われやすいデメリットもあります。

冷凍保存する場合

れんこんを長持ちさせたい場合は、冷凍保存することも可能です。
見た目や食感を、できるだけ維持したまま保存する手順は下記のとおり。

  1. 皮をむいて食べやすい大きさにカットする
  2. 2分ほど茹でる(変色を防ぐために酢を加える)
  3. 水気をふき取る
  4. フリーザーバッグに入れて空気を抜いて保存する
保存期間の目安は、1か月ほどです。

冷凍して保存したれんこんを召し上がるときは、常温でゆっくり解凍するとシャキシャキとした食感を残すことができます。

おいしい召し上がり方

れんこんをおいしく召し上がっていただくために、下ごしらえの方法やおすすめレシピを紹介していきます。

下ごしらえ

下ごしらえ

れんこんの下ごしらえ方法は、下記のとおり。

  1. 皮をむいて食べやすい大きさにカットする
  2. 3分ほど水にさらす(あく抜き)
れんこんは皮ごと食べても問題ありませんが、皮をむくことで味がしみこみやすくなります。

れんこんには抗酸化作用があるタンニンが多く含まれています。
空気に触れるとタンニンが酸化して黒く変色してしまうので、調理前にあく抜きしておくといいでしょう。

あまり長時間水に浸すと、れんこんに含まれる水溶性の栄養素まで流れ出てしまうので、あく抜きは3分ほどが目安です。

下ごしらえの方法で食感が変わる

れんこんは、下ごしらえの方法によって食感が大きく変わります。

一般的な輪切りや半月切りにすると、れんこんの繊維が断たれてやわらかな食感になります。れんこんの穴と同じ縦方向に包丁を入れると、歯ごたえを残すことが可能です。

包丁を入れる方向 横方向 縦方向
歯ごたえ やわらかめ かため
あく抜きに使う水に酢を加える(水400mlに対して小さじ1杯ほど)と、シャキシャキとした食感になります。

サラダやちらし寿司など、れんこんを生で召し上がりたい場合におすすめです。

あく抜きの方法 水(酢を加えた場合)
食感 ホクホク シャキシャキ
色の変わりやすさ 変わりやすい 変わりづらい

れんこんを使ったおすすめレシピ

レシピ

れんこんを使ったお料理の中でも、手軽に作れるおすすめのレシピを紹介します。

  • れんこんきんぴら
  • れんこんつくね
  • れんこんもち
  • れんこんサラダ

れんこんきんぴら

れんこんきんぴら

甘辛いしっかり味のきんぴらです。
ササっと作れるので、もう一品欲しいときにおすすめ!

包丁を縦方向に入れることで、いつもと違った食感を楽しめます。

◆ 材料

  • れんこん300グラム
  • 醤油:大さじ2杯
  • 砂糖:大さじ1.5杯
  • 酒:大さじ1と1/3杯
  • 鷹の爪:お好みで

◆ 作り方

  1. れんこんの皮をむき、繊維に沿って縦方向に切る
  2. フライパンに油をひき、中火で5分ほど炒める
  3. れんこんに火が通ったら、調味料を入れてさらに炒める(最後にゴマや七味を振ってもOK!)

れんこんつくね

れんこんつくね

刻んだれんこんの、シャキシャキした食感がクセになる!
甘じょっぱいタレを絡ませれば、ますますご飯がすすみます。

◆ 材料

  • れんこん:300g
  • 鶏ひき肉:300g
  • 青ネギ:二つかみ
  • シソ:3枚
  • 塩:少々
  • 片栗粉:大さじ1杯
  • 醬油:大さじ1杯
  • みりん:大さじ1杯
  • 酒:大さじ1杯

◆ 作り方

  1. れんこんの皮をむき、半分をみじん切りし、半分をすりおろす
  2. すりおろしたれんこんの水気を絞る
  3. 材料をすべて混ぜて、小判型に丸める
  4. フライパンにごま油をひき、両面に軽く焼き目が付くまで焼く
  5. 蓋をして弱火で5分、中まで火を通す
  6. しょうゆ、みりん、酒を入れて照り焼きにする

れんこんもち

れんこんもち

すりおろしたれんこんの、もちもちした食感がたまりません!
薬味をつけてアレンジしてみてもいいですね。

◆ 材料

  • れんこん 300g
  • 片栗粉 大さじ2杯
  • 塩コショウ:適量
  • 味のり(普通ののりでもOK)

◆ 作り方

  1. れんこんの皮をむき、すりおろす
  2. すりおろしたれんこんを軽く絞り、片栗粉と塩コショウを混ぜる
  3. 小判型に丸めて、のりを巻く
  4. 多めの油で揚げ焼きにする
  5. 醬油を付けて食べる(生姜やからしを入れるとさらに美味!)

れんこんサラダ

れんこんサラダ

いつものサラダに、薄くスライスしたれんこんをプラス!

新鮮なれんこんは、生でもおいしく召し上がれます。